KC SCIENCE LETTERS

  • 情報科学領域

ICTを豊かな社会づくりに活用

大きく二つのテーマを扱っています。一つは、「いいな」と思った服に似合う服やバッグ、靴などを自動で探して全身コーディネートを提案してくれるシステムの開発。もう一つは、新学習指導要領で始まった小学校・中学校のプログラミング教育や高校の情報の授業で利用する教材を、授業内容とセットで開発することです。

上 泰教授

使いやすく、メリットの高いシステムを追求

コーディネートを提案するシステムの研究は、服を廃棄せずにリユースに回して循環させることで、環境負荷を軽減し、サステナブルな社会構築に寄与することを狙いとしています。たとえばフリマアプリでリユースのトップスを購入する際、それに合うリユースのボトムスをセットで入手できれば、着こなしやすい上、服の循環も促進されます。

一方、教材・授業の研究は、小学校でプログラミング教育が必修化されようとしていた頃、近隣の小学校や教育委員会の方から相談を受けたことをきっかけに始めたものです。目指すのは、プログラミングの楽しさを知るところからスタートし、プログラムやモノを上手に使うと問題解決や新しい価値を生むことができると分かる、小・中・高一貫の情報教育体系の確立。発達段階に応じて、手元にある「モノ」を実際に動かしながら学べるよう、超小型ロボットやマイコンを使った教材・授業内容・カリキュラムを構築したいと思っています。

"サステナブルな社会構築"と"世界で戦える人材育成"のために

コーディネートを提案するシステムには、最適化手法と呼ばれる、最もよい組み合わせを考える方法に関する知見を活用。服のコーディネートを評価する観点については被服学の先生に助けていただいています。今後はAI分野の先生にもご協力いただき、提案されたコーディネートが好みではない場合、趣味に合うように提案内容を修正していくようなシステムにすることが目標。服の循環促進により、服の廃棄軽減はもちろん、服の生産量の見直しによる資源節約にもつながることを期待しています。

教材・授業の構築に向けては、現場の実情を把握することが重要です。小学校・中学校には、プログラミングを学んでいない教員が多く存在します。高校の情報教育は扱う内容が多岐にわたり、説明だけで終わってしまうというのが課題。これらをカバーできる小・中・高一貫の情報教育体系を作り上げることで、日本の情報教育の基盤形成、ひいては、情報技術分野で世界と戦える人材の育成に貢献できればと考えています。

高校生へのメッセージ

「ここではこんなこともできるの?」と、女子大に対するイメージを変えたいと思っています。ちょっとしたモノ・システムを作れるようになる。簡単なAIを構築できるようになる。Chat-GPTなどの生成AIや最新のICTツールを適切・的確に使いこなせるようになる。そんな教育を提供していきたいです。ぜひ神戸女学院大学で、新しい価値を創造するための素養を身につけてください。