KC SCIENCE LETTERS

  • 環境科学領域

科学の力で環境負荷を最小限に

私たちが日常的に使っている医薬品や化粧品、プラスチック製品。これらが使用後、河川や海などに流出することによる環境・生物への影響が懸念されています。本研究室ではメダカやミジンコといった水生生物を、化学物質が溶けた水で飼育し、どのような毒性影響(生態毒性)が生じるのかを明らかにしています。

横田 弘文 教授

一人ひとりが、環境負荷軽減の担い手

21世紀に入ってからの化学物質による環境汚染は、主に私たちの日常生活における生活排水に由来するものです。学生の皆さんに、「自分たちの生活が環境にどの程度の負荷をかけているのか」を実感してほしい。そして、「どうすればその負荷を低減できるのか」を考えてほしい。そんな思いから、身近な解熱鎮痛剤や化粧品に着目した研究を行っています。実験が上手くいかなかったり、予想していたような結果が出なかったり、研究のプロセスにおいて課題や困難はつきもの。研究者にとって大切なのは、そうした問題にぶつかったとき、真正面から向き合う姿勢です。そこには「絶対に自分の力で、この問題を解決してやるんだ!」という情熱が欠かせません。また、予想外の結果が出たとしても、それをすぐに否定するのではなく、「何が起きたのだろう?」と注意深く考察する姿勢も大事だと言えます。科学の世界では、そうした予想外の結果から大きな発見につながるケースがあるからです。

環境にやさしい社会の構築の一助となることを目指して

本研究室での研究成果が、生態系に与える影響が少ない製品の開発や、環境への負荷をより低減できる下水処理の仕組みづくりなどに役立てられればと考えています。それらの実現に向けて引き続き解明していきたいのが、医薬品とマイクロプラスチックです。マイクロプラスチックとは、さまざまなプラスチック製品から発生するとされている、自然分解されないプラスチックの細かい粒子・断片のこと。特に海洋環境にもたらす影響が懸念されているものです。私たち人間にとってメリットがありながら、環境の負荷を最小限にとどめることができる物質とは何なのか。これからも追い続けていきたいと思っています。

高校生へのメッセージ

環境問題に興味があるものの、「文系クラスだから理系の分野には進めないのでは・・・」と思っている皆さん、本研究室は文系・理系を問いません。環境問題、特に化学物質による汚染などに強い関心を持っている方をお待ちしています。私たちの暮らしがより安全・安心なものとなるよう、一緒に研究していきましょう。