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生命環境学部開設式を挙行しました

2025年4月3日(木)入学式に引き続き、生命環境学部開設式を執り行いました。新学部開設に至る経緯を中野敬一学長が、学部長のことばを横田弘文生命環境学部長がそれぞれ述べられました。
新入生を迎え、生命環境学部が新しい歩みを始めるにあたり、横田弘文生命環境学部長のことばをここにご紹介いたします。

【生命環境学部長のことば】
本日は、神戸女学院大学生命環境学部の開設式にご列席賜り、誠にありがとうございます。この場をお借りし、神の導きに感謝するとともに、学部開設にあたりご尽力くださった皆さまに、心より御礼申し上げます。
130年余り前、本学に着任されたホルブルック先生は、高等科理科のコースを設立し実証的なサイエンスの教育に情熱を注がれました。その情熱の灯火は時代の変遷に伴い、学科名が移り変わる中にあっても脈々と本学に受け継がれてきました。そして、創立150周年を迎えた今、新たな時代の要請に応えるべく生命環境学部を開設いたします。
では、「新たな時代」とはどのような時代なのでしょうか。地球科学の分野では21世紀に入り「人新世(じんしんせい)」という新たな地質時代の概念が提唱され、広く認識されつつあります。人類の営みが地球環境に決定的な影響を及ぼすようになったこの人新世の時代においては、地球温暖化、生物多様性の喪失、有害化学物質の拡散といった地球規模の問題が深刻さを増しています。また、気候変動の影響による熱中症の増加など、私たちの健康も地球環境と切り離せないものとなっています。こうした時代認識から生まれたのが、"プラネタリーヘルス(地球の健康)"という新たな考え方です。これは人間の健康と地球環境の健全性は深く結びついているという概念に基づいています。
生命環境学部では、このように複雑で相互に関連し合う課題に応えるため、環境科学、生命科学、情報科学、サイエンスコミュニケーションという4つの学問領域を横断的かつ有機的に結び付け、現代社会の要請に応じた学びの場を提供して参ります。環境問題や持続可能な社会の実現を単なる知識の習得にとどめるのではなく、すべての生命との共生を尊び、自然環境を保全し、未来の世代へ健全な地球を引き継ぐことを学びの根幹に据えています。
本学院の永久標語である「愛神愛隣」は、神への愛と隣人への愛を実践することの大切さを示しています。この精神に基づき、新入生の皆さんは自然と人間社会が互いに影響を与え合いながら成り立っていることを理解し、その中に生きる自分たちの役割を考えていきます。そして、隣人を思いやる心を育みながら持続可能な未来に向けて共に行動する力を身につけていきます。こうした学びこそが、人新世の時代を生きる皆さんに求められるものであり、本学部の使命でもあります。
春の訪れとともに、岡田山に生息する約3500種もの生命がそれぞれの営みを繰り広げています。そして、その豊かな自然の中にヴォーリズの建物が静かに溶け込んでいます。花曇りの空のもと、ヴォーリズの建物は岡田山の多様な生命の営みをやさしく見守り、まるで自然と調和するかのような美しい景観を生み出しています。この唯一無二の豊かで美しいキャンパスの中で、新たな学部の歩みを始められることに深い喜びを感じるとともに、大きな責任を自覚しています。私たちはホルブルック先生の『神戸女学院の教育の使命は理科教育にある』という言葉を心に刻み、この伝統を受け継ぎながら新たな一歩を力強く踏み出して参ります。
本日ご参列くださった皆さまに、あらためて心よりお礼申し上げます。そして、神のもとで共に歩む仲間として、皆さまとこの時を分かち合えることを心から嬉しく思います。
最後になりますが、この日を機にここにお集まりの皆さまの本学部に寄せる思いが、さらに深まり、大きく育まれていくことを願いつつ私の挨拶とさせていただきます。

生命環境学部長 横田 弘文