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授業紹介:第1回「生命科学基礎実習」 【健康科学研究室】

「生命科学基礎実習」は、大学1年次の学生が受講する必修実習の一つです。

「生命科学基礎実習」では、バイオサイエンス・生命科学領域の研究、例えば、食品科学、健康科学、生化学、細胞生物学の研究を行うための基本となる実験操作を学ぶことができます。加えて、実験レポートの書き方や、実験データの解析に必要な計算方法についての理解も深めていきます。本学科は理系出身の学生だけでなく文系出身の学生も在籍しているため、高校での理科や数学の内容も交えながら、基礎からわかりやすい講義や実習が準備されています。

通常では、一人の教員が講義や実習を担当しますが、「生命科学基礎実習」では、計15回の実習を専門分野が異なる以下の4人の教員が担当しており、幅広い分野の内容を基礎から学ぶことができるようになっています。

4名の担当教員
高岡 素子(食品基礎科学研究室)
佐藤 友亮(健康科学研究室)
西海    (代謝生化学研究室)
高木 俊人(分子生態学研究室)

第1回「生命科学基礎実習」紹介では、健康科学研究室、佐藤友亮教授が担当している実習を紹介します。

第1回の佐藤教授担当は、バイオサイエンス領域で重要な①生理機能検査(循環器、呼吸器)実習、②分子生物学的手法であるPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)についての理解、③ヒトと生物の組織・臓器の理解(細胞組織観察)で構成されます(3コマ)。

生理機能実習では、血液内科医でもある佐藤教授の指導のもと、血圧、脈拍、動脈血酸素飽和度(SPO2)を、実際の医療現場でも使われている同様の機器を使用し検査します。バイタルサイン(生命徴候)が様々な条件下においてどのように変化し機能するのかに着目し、人体の構造と機能やその検査法について理解を深めるものです。

PCR法の実習では、原理や標準的プロトコール、リアルタイムPCRの原理、この解析法(検量線法)に加え、実際の佐藤教授の研究データサンプルから造血細胞分化(造血幹細胞)とリンパ球関連遺伝子(骨髄球系前駆細胞)の遺伝子発現量を比較する計算演習を行います(相対定量法)。

細胞組織観察では、一例としてイヌの小腸の組織細胞である単層円柱上皮の観察を光学顕微鏡にて行います。栄養素の吸収において重要な働きを持っている細胞で、表面には微絨毛という膜消化が行われる構造を観察することができます(小皮縁)。様々な種類がある上皮組織の中でも観察と理解がしやすい細胞であり、1年次実習に対してより適しています。

このように、実際にヒトの生理機能を測定、検査する実習や細胞組織の観察を詳細に行うことは、健康科学分野における学びの基本ともいえます。2年次履修科目では「人体の構造と機能」、「病気の細胞生物学」「健康医学」そして「生命の科学実習」が設定されています。さらに人体臓器の様々な細胞組織の観察実習や生理機能実習、細胞培養実習を行い、人体の構造と機能に関するより深い理解を目指します。ここでの基礎実習は、これらに向けた基礎的な実習ともなっています。

健康科学研究室 佐藤友亮 教授
教員情報 https://www.kobec.ac.jp/learning/kyoin/satoh_yusuke/
研究紹介 https://b.kobec.ac.jp/letters/2024/03/26/post_5.html

次回は、食品基礎科学研究室 高岡素子教授が担当している「生命科学基礎実習」の内容を紹介します。

〈次回第2回担当〉
食品基礎科学研究室 高岡素子 教授
教員紹介 https://www.kobe-c.ac.jp/learning/kyoin/takaoka_motoko
研究紹介 /letters/2024/03/26/post_3.html