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【理科教育研究室】授業の紹介:化学概論で扱う「分子軌道法」の基礎

中川教授担当の化学概論の授業では、分子軌道法の基礎を取り扱います。どうしてH2分子はできるのに、He2分子はできないのか?どうしてO2分子の原子間の結合が二重結合となり、N2分子の原子間の結合が三重結合になるのか?高校化学では、それぞれの原子が持つ価電子を共有して共有電子対が生成することにより共有結合が形成されると説明されますが、実際はそんな単純なものではありません。分子軌道法では、各原子の持つ原子軌道がオーバーラップして新しい分子軌道(結合性軌道と反結合性軌道)が形成され、それぞれの軌道に存在する電子の数により、原子間の共有結合の種類が決定されます。その際の決め手が結合次数です。この値が1なら単結合(一重結合)、2なら二重結合になります。分子が電子を受け取ったり、無くしたりして生じる分子イオンの場合には、結合次数が0.5や1.5のように、整数にならない場合もあります。

化学を学ぶ上で、分子軌道法は化学の柱に相当する重要な内容です。京都大学名誉教授の福井謙一先生(1918-1998)は、分子軌道法の理論を発展させたフロンティア軌道の理論により、日本人で初めてノーベル化学賞を受賞されました。世間では、化学と言えばまず実験と考えられているようですが、理論も化学の重要な研究手段です。ちなみに化学概論を担当する中川教授は、分子性溶液の理論研究で博士号を修得しています。化学概論を受講する学生の皆さんには、分子軌道法の学習を通して、是非理論化学の醍醐味を味わってもらいたいと思います。
(文責:中川徹夫)

理科教育研究室 
教員情報:中川徹夫 教授Link 
研究紹介:マイクロスケール実験のメリットを追求(Link)