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授業の様子:生命環境データサイエンス基礎(テキストコミュニケーションの手法)
- 教育・研究
SNSで"送ったメッセージ"、それが誰にどう伝わっているか、気にしたことはありますか?
実は、神戸女学院大学の生命環境学部では、こうした現代のコミュニケーションをテーマにしたユニークな授業が行われているのです。今回ご紹介するのは、「メールやSNSなど、文章で行うコミュニケーション全般(=テキストコミュニケーション)を、もっと上手に活用する方法」を学ぶ授業です。ゲスト講師を務めたいわさきはるか先生は、サイエンスライターであり、ライティング講師として働きながら、3人の子どもを育てるお母さんです。育児も仕事も、すべてテキストだけでこなす毎日だからこそ実感する、「ちゃんと伝えるって、大事!」という思いが、授業にたっぷり詰まっていました。
「誰でもやっていること」が、実はすごい力に
講義はまず、「誰でもやっているテキストコミュニケーション」と題し、メールやSNSでのやりとりが、実は1日に数千文字にもなる立派なコミュニケーションであることを紹介するところから始まりました。企業の研究職や大学の先生がやりとりしている一日のメッセージ量を見て、「そんなに書くの?」と驚きつつも、私たちの将来の働く姿が想像できる、印象的なスタートとなりました。
社会に出てから役立つ「できる大人」のテキスト術
次にメールとチャットの違いが取り上げられました。たとえば、「金額やスケジュールのやりとりはメールで残す」「急ぎの相談はチャットでサッと送る」といったように、目的に応じてツールを使い分けることが、社会に出てから非常に重要になるとのこと。特に、チャットは「編集・削除ができる便利な反面、誤解や証拠の消失にもつながる危うさがある」という話には、多くの学生がうなずく場面もありました。また、「返事が来ない相手にどう催促するか」「伝わりづらい文にどう返すか」といった実践的なワークも行われました。「このような理解でよろしいでしょうか?」という確認フレーズの活用や、指示語を減らして短く書くテクニックなど、すぐに使えるスキルが紹介され、学生たちも熱心に取り組んでいました。
「あなたを守る」テキストの書き方とは?
授業後半では、「あなたを守るテキストコミュニケーション」として、曖昧な言葉が誤解を生むリスクや、SNSでの炎上、誤送信といった話題も取り上げられました。たとえば、「大丈夫です」や「なるべく早く」といった表現は、「18日の17:00までにご返信ください」と具体的に書くことで、トラブルを防げることが紹介されました。SNSでの投稿においては、「男って~」「子どもは~」など主語が大きすぎる表現を避け、自分の体験として伝える、「絶対~すべき」などの決めつけを避ける、といったポイントが語られました。さらに、送信後の編集・削除機能が「誤解」や「改ざん」ととられかねないリスクについても言及があり、学生たちは真剣に耳を傾けていました。
「思いやり」がすべての基本、日常のやりとりを、深く考える学びに
講義を通して伝えられたのは、「どんなツールでも、相手への思いやりを忘れないこと」。「マナーの正解は一つではない。だからこそ大切なのは、相手を思いやること」――講義の最後にいわさき先生が語ったこの言葉が、印象的でした。
LINEやSNS、メールなど、文字でのやりとりは今や日常の一部。だからこそ、「どう伝えるか」は「何を伝えるか」と同じくらい大切であると実感できた授業でした。
今回の講義は、現代のコミュニケーションに必要な"言葉のマナー"を実例とともに学ぶ、貴重な実践型の授業でした。高校生やそのご家族にとっても、「大学ではこうやって日常を深く考えるんだ」という気づきや、将来の社会生活へのヒントになるはずです。
※こちらのNEWS原稿は、本授業の中間課題として受講生に執筆していただきました。いわさき先生と担当教員で選定し、2025年度は、生命環境学部の1年生の執筆したものが採用されました。いわさき先生のnote「文字でつながる今だから、テキストコミュニケーションを教えた話」(Link)では、講師目線の授業レポートが掲載されています。学生目線の本NEWS記事と合わせてぜひご覧ください。
【ゲスト講師】
いわさきはるか先生(https://x.com/iwasakiHar458)
【担当教員】
教員情報:高木俊人 専任講師(Link)
研究紹介:野生生物のゲノム解析で社会課題を解決へ(Link)