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【理科教育研究室】中川教授が「日本教科教育学会第51回全国大会」で研究発表を行いました

 理科教育研究室の中川教授が、「日本教科教育学会第51回全国大会」で研究発表を行いました。今回の全国大会は、2025年11月15日と16日の2日間、日本福祉大学美浜キャンパスで開催されました。中川教授は、11月15日に、研究発表「2価金属と2価金属イオンの反応に関する教材開発:反応ギブズエネルギーと反応進行度の関係」を行いました。7月26日に国際会議10th NICEで発表した内容に化学平衡の状態が出現する新たな反応を加え、考察を深めたものです。
 2価金属と2価金属イオンの化学反応(Zn(s)/Cu2+(aq)、Mg(s)/Zn2+(aq)、Mg(s)/Zn2+(aq)、Co(s)/Ni2+(aq)、Sn(s)/Pb2+(aq)、Fe(s)/Cd2+(aq))、に関して、系のギブズエネルギーGや、標準状態における混合を考慮しないギブズエネルギー変化ΔG°および混合を考慮したギブズエネルギー変化ΔGを算出しました。その結果、ΔG°が負でその絶対値が30 kJ·mol-1以上と大きい場合(Zn(s)/Cu2+(aq)、Mg(s)/Zn2+(aq)は、Mg(s)/Zn2+(aq))は反応が極めて進行しやすく、ΔG°が負であってもその絶対値が30 kJ·mol-1未満と小さい場合(Co(s)/Ni2+(aq)、Sn(s)/Pb2+(aq)、Fe(s)/Cd2+(aq))は、化学平衡の状態に到達する反応進行度αeまでは反応が進行することが判明しました。G-αにグラフはαeで極小値を示し、ΔG-αグラフはαeで符号が負から正へと変化して、化学平衡の状態に到達します。
 今回の研究も、既存のデータを活用して行うため、紙と鉛筆とノートパソコン、それに表計算ソフトがあれば、どこでも取り組めます。まさに、データサイエンスの手法を用いた研究です。実験試薬や器具も不要です。化学反応、特に酸化還元反応に関する理解を深めるための高校化学の教材としても有用です。

 本研究は、JSPS科研費JP24K05954の助成を受けたものです。

【理科教育研究室】
教員情報:中川徹夫 教授(Link
研究紹介:マイクロスケール実験のメリットを追求(Link)