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【代謝生化学研究室】西海准教授の研究成果がAnalytical Methods誌に掲載されました!
- 教育・研究
代謝生化学研究室・西海准教授の研究成果が、イギリスの学術機関である王立化学会(Royal Society of Chemistry)の学術論文雑誌Analytical Methods誌に掲載されました!掲載された論文内容は以下の通りです。
論文タイトル:
Development of a new procedure for selecting internal standards for gas chromatography/mass spectrometry-based plasma metabolome analysis
著者:
Shin Nishiumi, Tomonori Yokoyama, Noriyuki Ojim
掲載情報:
Analytical Methods
Volume 17, Issue 47, Page 9683-9688, Year 2025
DOI: 10.1039/D5AY01659B https://pubs.rsc.org/en/content/articlelanding/2025/ay/d5ay01659b
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41277367/
論文概要:
メタボローム解析とは(※1)、生体内に存在する代謝物(※2)を網羅的に分析する手法であり、近年、医学分野、微生物分野、植物分野、植物分野、動物分野など様々な研究分野に活用されています。このメタボローム解析技術は発展途上にあり、多くの研究者が、メタボローム解析技術を進展させるため、様々な研究を進めています。
質量分析計を用いたメタボローム解析では、膨大な量の測定データを取り扱うことから、より正確なデータを取得するために、実試料の測定データ補正が非常に重要となります。データ補正に関しては、内部標準物質(※3)を用いて分析データの補正を行うことが一般的で、様々な内部標準物質が分析で使用されています。質量分析計を用いた分析において、分析対象成分と化学構造が類似したものなどを内部標準物質として使用することが一般的ですが、質量分析計を用いたメタボローム解析では、一回の分析で様々な成分を検出することから、分析対象成分の化学構造を参考にして内部標準物質を選択するのが難しくなります。今回の論文では、ガスクロマトグラフ質量分析計(※4)を使用し、ヒト血漿中に存在する代謝物の網羅的解析における内部標準物質の新たな選択手法について検討しました。
本論文では、購入可能なヒト血漿の分析データを階層的クラスター分析に供することで、ヒト血漿代謝物網羅的解析において検出された代謝物の施設間変動をグループ化し、分類された各グループに含まれる代謝物情報から内部標準物質を選択するという手法を提案しています。ガスクロマトグラフ質量分析計によるメタボローム解析では、内部標準物質として2-イソプロピルリンゴ酸という物質を使用することがあります。今回、提案している手法に基づいて選択された内部標準物質を用いることで、2-イソプロピルリンゴ酸による補正よりもデータのばらつきをよりよく補正できることを明らかにしました。
近年、様々な研究分野でメタボローム解析が実施されています。今回の研究では、ヒト血漿を対象としたメタボローム解析における内部標準物質選択手法を提案していますが、血漿以外の試料であっても適用可能な内部標準物質選択手法であると考えられ、本研究の成果はメタボローム解析研究の発展に貢献できる可能性があります。
代謝生化学研究室では、メタボローム解析による代謝物分析だけでなく、メタボローム解析技術の構築なども、研究の一環として進めており、今回の論文はメタボローム解析技術に関連する研究成果となります。
※用語説明
※1
メタボローム解析...生体内に存在する代謝物(糖、アミノ酸、脂質、有機酸、核酸など)を網羅的に分析する手法で、一度の測定で、数十~数百種類の代謝物をまとめて分析することが可能です。
※2
代謝物...代謝とは、生体内で起こる一連の化学反応のことで、生物の生存や機能に不可欠とされています。この代謝の過程で産生される物質のことを代謝物と呼び、代謝産物と呼ばれることもあります。
※3
内部標準物質...実試料中には含まれていない物質で、様々な分析において、分析精度向上のために使用されます。内部標準物質を実試料に加えて分析を行い、分析対象物質の測定値と内部標準物質の測定値との比をとることで、データ補正などを行います。
※4
ガスクロマトグラフ質量分析計...ガスクロマトグラフと質量分析計からなる分析装置のことで、この装置を用いることで試料中の複数成分をガスクロマトグラフで分離し、質量分析計により成分の定性や定量を行うことが可能です。



【代謝生化学研究室】
教員情報:西海信 准教授(Link)
研究紹介:代謝物と生体機能との関係を解き明かす(Link)