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【理科教育研究室】中川教授が「日本理科教育学会第76回全国大会」で研究発表を行いました
- 教育・研究
「日本理科教育学会第76回全国大会」が、2026年8月22日と23日の2日間、鹿児島大学で開催されました。中川教授は、8月23日に、研究発表「クロム酸イオンと二クロム酸イオンの化学平衡:反応ギブズエネルギーと平衡定数の算出」を行い、そのセッションの座長も担当しました。
高等学校化学の授業では、クロム酸イオン(黄色)と二クロム酸イオン(赤橙色)は、水溶液の液性(酸性、塩基性)の変化に伴い変化することを学習します。つまり、クロム酸イオンに水素イオンを加えると二クロム酸イオンに変化し、さらに水酸化物イオンを加えるとクロム酸イオンに戻ります。一方、二クロム酸イオンに水酸化物イオンを加えるとクロム酸イオンに変化し、さらに水素イオンを加えると二クロム酸イオンに戻ります。つまり、いずれの反応も明らかに可逆変化です。
しかし、高等学校化学の教科書には、クロム酸イオンに水素イオンを加えると二クロム酸イオンと水を生成する反応(1)および二クロム酸イオンに水酸化物イオンを加えるとクロム酸イオンと水を生成する反応(2)しか記されていません。これらの反応式はいずれも左辺(反応系)から右辺(生成系)へと一方的に変化する不可逆変化です。
そこで、反応(1)と(2)から水を消去して、クロム酸イオンに水素イオンを加えると二クロム酸イオンと水酸化物イオンを生成する反応(3)に着目しました。そしてこれらの3種類の化学反応に関して、反応式に含まれる物質の標準生成ギブズエネルギーの値より、標準反応ギブズエネルギーΔG°および平衡定数Kを算出しました。データに基づき、化学平衡に到達する条件について検討しました。
反応(1)、(2)に関するΔG°はいずれも負で絶対値は大きく、Kも10の13乗から14乗のオーダーの極めて大きな値を示しました。これより、いずれの反応もほぼ完全に右向きに進行する不可逆変化であることは明白です。一方、反応(3)に関するΔG°は負ですが絶対値が小さく、Kも3.0と比較的小さい値を示しました。これより、反応は完全に右向きに進行せず、化学平衡の状態に到達します。つまり、可逆変化を表しています。
詳細な化学反応式については、スライド(PDFファイル)をご覧ください。今回研究対象としたクロム酸イオンやニクロム酸イオンは、通常六価クロムと呼ばれ、いずれも猛毒で発がん性も指摘されています。ですから、高等学校では生徒実験は避けて、説明だけで済まされる場合が多いようです。しかし、物質そのものを扱うことが困難な場合でも、今回紹介したように、既存のデータを組み合わせて新しいデータを算出し、研究に活用することも可能です。
本研究は、JSPS科研費JP24K05954の助成を受けたものです。
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