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【理科教育研究室】中川教授が「日本理科教育学会第75回全国大会」で研究発表を行いました

理科教育研究室の中川教授が、「日本理科教育学会第75回全国大会」で研究発表を行いました。今回の全国大会は、2025年8月23日と24日の2日間、富山大学五福キャンパスで開催されました。中川教授は、8月24日に、研究発表「2価金属と水素イオンの反応に関する教材開発:反応ギブズエネルギーと反応進行度の関係」を行い、同じセッションの座長も担当しました。
 2価金属(Cu(s)、Zn(s)、Mg(s)、Sn(s)、Pb(s))と水素イオン(H+(aq))の化学反応に関して、物理化学の理論も用いて、系のギブズエネルギーGや、標準状態における混合を考慮しないギブズエネルギー変化ΔG°および混合を考慮したギブズエネルギー変化ΔGを算出しました。その結果、ΔG°が負で大きい場合(Zn(s)/H+(aq)、Mg(s)/H+(aq))は反応が極めて進行しやすく、ΔG°が負であっても-30 kJ·mol-1よりも大きい場合(Sn(s)/H+(aq)、Pb(s)/H+(aq))は反応が完結する直前で化学平衡の状態となり、ΔG°が正で大きい場合(Cu(s)/H+(aq))は反応がほとんど進行しないことが判明しました。さらに、反応進行度αの変化にも注目し、反応が進行する場合はΔGが負であり、反応が進行しない場合はΔGが正であることも確認できました。
 今回の研究では、既存のデータを活用して新たなデータを算出し、これを解析するというデータサイエンスの手法を用いて高校化学の教材について検討しました。Gがαの関数であれば、これをαで微分(厳密には温度、圧力一定の条件で偏微分)すればΔGを算出できます。高校生でも、数学IIIの授業で自然対数関数の微分法を履修した人なら容易に理解できます。見方によれば、化学と数学のコラボ教材ともいえるでしょう。数学で学んだ内容数学だけの知識として留めておくのはもったいないです。それを、化学や物理学など、いわゆる理科の学習で活用すれば理解も深まり、大学での学びの橋渡しにもなります。
 今回の研究は、紙と鉛筆とノートパソコン、それに表計算ソフトがあれば、誰でもどこでも取り組める内容です。実験試薬や器具も不要です。化学反応に関する理解を深めるための高校化学の教材としても有用であると思います。

 本研究は、JSPS科研費J P 24K05954の助成を受けたものです。

【理科教育研究室】
教員情報:中川徹夫 教授(Link
研究紹介:マイクロスケール実験のメリットを追求(Link)